親和クリニック 総院長
音田 正光

大学を卒業後、一般外科、消化管外科、乳腺内分泌外科の臨床、および分子生物学、腫瘍学の研究に約十数年従事。その後、植毛手術を開始。
最初の5年間はFUSS手術をメインに執刀。症例数は約1,000例を超え、その後はFUE手術を行う。FUE手術の症例数は約2,000例にものぼる。
平成20年、採取に動力パンチを用いたFUE手術に関する論文を執筆。この分野における先駆的報告と評価される。
若い頃に比べて抜け毛の量が気になってきた……そんなお悩みはありませんか?
なぜ年齢を重ねると、抜け毛が増えてしまうのでしょうか。加齢に伴う抜け毛と薄毛の対策には、まずはその原因を知ることが大切です。
そこでこの記事では、薄毛治療のスペシャリストである親和クリニックの医師陣が、CBCラジオ大阪の番組内でお話した抜け毛が増えてしまう原因と対策についての解説を、わかりやすくまとめた情報をお送りします。
実は健康的な毛髪でも、一日平均100本前後は自然に脱毛しています。
髪の毛には「成長期(活動期)」「退行期」「休止期」というヘアサイクルがあり、そのサイクルを2~6年かけて過ごして自然に抜けていくのです。
つまり抜け毛の本数を数えてみて、一日100本ほどに収まっていればそれほど心配する必要はないということですね。
季節の変わり目には多少増えますが、もし毎日のように100本を大幅に超えて抜けているようであれば、いわゆる「脱毛症」と呼ばれる病的疾患を疑うことになります。
脱毛症で抜けている髪は、ヘアサイクルのうち髪が成長する「成長期(活動期)」の時期が短くなっていることが多いため、軟毛化し、弱々しくなっています。
抜けた毛髪の毛根部分を確認してみてください。マッチの先のように膨らんでいたら問題ありませんが、やせ細っていたらそれは正常なヘアサイクルを過ごさずに抜けている可能性が高いといえます。
ただし脱毛症かどうかを正確に判断するには、やはり専門クリニックでチェックしてもらうのが一番良いでしょう。
進行性の脱毛症である場合は早期治療が重要ですので、心配なようでしたらカウンセリングを予約しましょう。
特に男性の場合は、「AGA(男性型脱毛症)」を発症している事がほとんどです。
AGAは男性ホルモンが関係していて、先程のヘアサイクルの「成長期(活動期)」が短くなり、毛髪が十分に成長しないまま「退行期」「休止期」に移行していまい、弱々しい髪しか生えなくなってしまう症状です。
その他には毛包組織に対する自己免疫障害で起きる「円形脱毛症」や、食生活において脂を過剰に摂ってしまうことで起きる「脂漏性皮膚炎」などがあります。
脱毛症によって治療方法が異なるので、やはり専門医に診てもらうのが良いでしょう。
AGA(男性型脱毛症)は加齢に伴い発症しやすく、主に前頭部や頭髪部の髪から脱毛していくのが特徴です。
日本皮膚科学会によると、日本人男性の約3人に1人が生涯で発症するとされ、年齢別の発症確率は20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40%以上と、加齢に伴い確率は高まります。
AGAのメカニズムについては、毛髪内にある毛母細胞のホルモンレセプターが、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)と結合し、ヘアスタイルの「活動期」を「退行期」へと移行させてしまう因子「TGFβ1」を生成する、ということはわかっています。
そこに遺伝的要素や生活習慣などの要因が複雑に絡んで発症するため、原因はひとりひとり少しずつ異なります。
女性の場合は、加齢によって女性ホルモンが減少することで、相対的に男性ホルモンが優位になり、分け目のところから地肌が見えてきて薄くなるという、男性型脱毛症と似たような症状が出てくる方がいらっしゃいます。
また同じくホルモンバランスの乱れが原因で、髪と密度が全体的に低下する「びまん性脱毛症」に悩んでいる方も多いです。
長い髪の方や同じヘアスタイルを続けている方がなりやすいのは「牽引性脱毛症」です。
これは髪をきつく結んでいることで頭皮が引っ張られ続けたり、同じ分け目のヘアスタイルを続けたりすることで毛根に負担がかかって抜け毛に繋がる現象です。
これまで説明してきたように、抜け毛や薄毛の原因は実に様々です。
もともとの体質や遺伝なども関係するので必ず効くとは断言できませんが、抜け毛を増やさないためにできることはあります。
ただ、AGAが発症している場合は残念ながら、セルフケアで髪を再び生やすことは非常に難しいと言わざるをえません。
自己努力では、薄毛の進行を多少緩める、または現状維持までが精一杯であることを念頭に置く必要があります。
髪の毛は基本的にタンパク質で出来ています。そのためタンパク成分をしっかり摂るようにしましょう。微量元素としては亜鉛、ビタミン類も必要です。
動物性脂肪はあまり摂りすぎると皮脂の分泌が多くなり、「脂漏性皮膚炎」などを誘発する可能性があるので気をつけたいところです。
しかし脂肪分は代謝されるので、神経質になりすぎることはありません。あまりこだわって節制しすぎるのもストレスになって髪に良くないです。
睡眠は身体の健康状態の維持に必要不可欠です。頭皮や毛髪にとっても、健康な状態を保つためには十分な睡眠が必要です。
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、体の休息と修復、そして成長を図るからです。
この成長ホルモンの分泌が多いと、太くて強い毛髪が生育されると言われています。
成長ホルモンが分泌されるゴールデンタイムは、夜22時~午前2時までの間で、これは毛の基となる毛母細胞の分裂が非常に盛んになる時間帯ということになります。
寝不足にならない睡眠時間は人によると思いますが、できればゴールデンタイムにかかるように入眠できるといいですね。
春から夏にかけて紫外線量が増えると、♛管が硬くなって♛流障害を起こしたり、毛穴の炎症やフケ、脂の分泌が多くなったりという害が起きやすくなります。
また、その時期はエアコンをつけることが多くなると思いますが、エアコンによる乾燥で頭皮の状態が不安定になります。
それらの要因が重なることで秋ごろは抜け毛が増えると言われています。
長時間外で活動する際は必ず帽子をかぶる、日傘を使用するなど、しっかり紫外線対策を行うといいでしょう。
実はストレスと抜け毛のメカニズムは完全には明らかにされていないのですが、髪を成長させる司令塔である毛乳頭細胞の機能が、ストレスによって働かなくなることがわかっています。
さらにストレスによって発生する活性型酸素が悪さをしたり、ストレスの心因的な影響で頭皮が硬くなって♛流状態が悪くなったり、あるいはヘアサイクルの乱れが起こることも認識されています。
ストレスは肌や内臓機能などに悪影響を与えますから、頭皮や髪にとってもいいはずがないのです。
女性の抜け毛でも触れましたが、あまり髪をきつく縛るような髪型を続けたりカチューシャなどで髪を引っ張り続けていると「牽引性脱毛症」になる可能性があります。
これは髪が引っ張られ続けることで頭皮や毛根に負担がかかり、生え際から薄毛になっていく現象です。
お仕事の都合上などで致し方ない場合もあると思いますが、休日などは髪を縛らず毛根も休ませてあげるといいでしょう。
また、同じ分け目ばかりにしていると少しずつダメージが蓄積するので、毎日少しずらす工夫をしましょう。
AGA(男性型脱毛症)は進行性です。一度発症してしまうとセルフケアで治すことは難しいため、なるべく早く専門医にかかることが大切です。
薄毛治療には大きく分けて「投薬治療」と「自毛植毛手術」があります。
どちらも日本皮膚科学会が発表している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」で医学的エビデンスがある治療法として認められています。
投薬治療には、内服薬による治療と外用薬による治療があります。
内服薬では「フィナステリド」という薬が有名です。男性型脱毛症への効能があるとはじめて政府の認可が下りた薬です。
また最近は「デュタステリド」という成分の薬も発売されました。フィナステリドよりも少し強く、さらに若干の発毛効果もあるとされています。
働きとしてはどちらも、薄毛の原因を作るDHT(ジヒドロテストステロン)に男性ホルモンが変換されるのを抑える効果があります。
原因が作られなくなるので、結果として抜け毛が予防できるということです。
外用薬(塗り薬)では「ミノキシジル」という成分の薬があります。こちらは1日1~2回頭皮に直接塗布して毛を維持します。
元々は高血圧の降圧剤として開発されたものですが、試験段階で副作用として毛が濃くなることが発見され、薄毛治療へ活用されるようになりました。
当院では、「ノーニードル発毛メソセラピー」という治療法で外用薬をより患部へ浸透しやすくする塗布方法も採用しています。
投薬治療の場合は、内服薬と外用薬を併用して治療を行っていきます。
頻度やどういった組み合わせにするかは患者様の髪質や薄毛の進行状況によって異なりますので、医師と相談の上決めていくことになります。
まず名称についてですが、髪の毛を生やす効果があるものが「発毛剤」、既に生えている髪の毛を育てるものが「育毛剤」、髪の毛の健康のために必要な栄養分を届けるものが「養毛剤」です。
このうち「発毛剤」は、厚生労働省から発毛効果が認められた有効成分が配合されているものしか標榜できません。内服薬も外用薬も医薬品に分類され、医師から処方されるか、薬剤師のいる薬局でしか買うことができません。
つまり医薬品ではないものはすべて「育毛剤」「養毛剤」の類であり、今ある髪を強くする効果はあっても、髪を新たに生やすような効果は期待できません。
また「発毛剤」であっても効果がしっかり出る強い薬は処方箋が必要になりますので、まずは病院で相談されるのが薄毛を治す近道です。
自毛植毛は、自身の後ろの髪やサイドの多く残っている髪を、薄毛になった箇所に毛髪を作り出す組織ごと引っ越す外科手術です。
なぜその治療が効果的かというと、AGAの場合、薄毛になる毛の大体は、頭頂部も含めたてっぺんと前頭部の毛が中心です。すなわちサイドや後ろの髪はAGAが発症しにくいのです。
AGAになりにくい髪を組織ごと引っ越すので、定着した髪は正常なヘアサイクルで生え変わり続けます。
移植元となる後頭部や側頭部の髪も根こそぎなくなるわけではなく、ほどよくちらして採取するので、見た目上薄くなるわけではありません。
手術と聞くと、頭皮にメスを入れて皮膚を採取するように想像するかもしれませんが、親和クリニックの自毛植毛術「MIRAI法」は、メスを使わず、マイクロパンチブレードという超極細の丸い刃で毛髪を一本一本採取します。
従来の自毛植毛は頭皮をメスで切り取っていたのですが、より傷が小さく痛みも少ない方法が開発され、それを元に当院独自の技術や道具を開発してきました。
金額については、「MIRAI法」は基本治療料220,000円に加え、1グラフト(株)あたり990円×移植する株数の金額がかかります。
グラフトというのは、実は髪は一つの毛包(毛根を包む組織)につき一本ずつ生えているとは限らず、1~4本生えているのですが、このひと塊を「グラフト」あるいは「株」といいます。
薄毛の進行具合によって推奨する移植本数は変わりますので、ご予算と相談しながら決めていくことになります。
まとまった金額となる印象かもしれませんが、自毛植毛は一度の移植手術が完了したら基本的にはメンテナンスフリーです。
投薬治療は「もう薄毛でもいいか」となるまで基本的にずっと薬の服用や塗布を行い続ける必要がありますので、それがない分、トータルコストで言えば自毛植毛も決して高くない治療であるといえます。
ここまで抜け毛や薄毛の原因とその対策、そして治療法についてまとめてきました。
もし今まさに抜け毛や薄毛について気になっているのであれば、一人で悩まず、まずはカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。
親和クリニック新宿院では無料で髪の状態のチェックや、薄毛対策や治療に関するアドバイスを行っています。
お話を最初に伺うカウンセラーの中にも、自らもかつて薄毛に悩み、自毛植毛手術を受けた者も在籍しています。
自毛植毛手術の様子やその後について聞いてみていただければと思います。
もちろん無理な勧誘などはいたしません。どうぞお気軽にご相談ください。
また、写真を送るだけで相談できるメール相談も開始しました。遠方の方や外出を控えている方はぜひご利用ください。
親和クリニック 総院長
音田 正光
大学を卒業後、一般外科、消化管外科、乳腺内分泌外科の臨床、および分子生物学、腫瘍学の研究に約十数年従事。その後、植毛手術を開始。
最初の5年間はFUSS手術をメインに執刀。症例数は約1,000例を超え、その後はFUE手術を行う。FUE手術の症例数は約2,000例にものぼる。
平成20年、採取に動力パンチを用いたFUE手術に関する論文を執筆。この分野における先駆的報告と評価される。
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